ABM(Account Based Marketing:アカウント・ベースド・マーケティング)はBtoBにおいて、個々の顧客企業に合わせたアプローチをとる最先端のマーケティング手法です。最新の技術やデータ分析を駆使して、ターゲット企業のニーズに合わせたパーソナライズされたコミュニケーションを展開します。従来行われてきた営業方法との違いを踏まえ、詳しく見ていきましょう。究極のBtoBマーケティング、ABMとはアカウント・ベースド・マーケティング(ABM)は、特定の大手企業に焦点を合わせたBtoBマーケティング戦略です。多数の顧客にアプローチするのではなく、ピンポイントでターゲットとなる企業に合わせたアプローチを仕掛けます。つまり、ABMは見込み顧客全体に対してではなく、選ばれた企業に直接的でカスタマイズされたマーケティング活動を展開する点が特徴です。現在ABMが注目されるようになった理由は、従来の大口顧客へのアプローチにデジタル技術を取り入れることで、顧客との接点を増やし、効率的な個別対応と反応の追跡が可能になったからです。こうしたデジタル化により、アプローチの効果が大幅に向上します。ABM導入のメリットABMを導入するメリットは以下のとおりです。ROIの効果的活用リソースのコスト削減PDCAの高速化営業と連携強化1.ROI(投資利益率)の効果的活用マーケティングのROI向上を目指し、売上への貢献が見込める企業を特定します。BtoBマーケティングにおいてキーアカウントに特化したアプローチが可能となり、営業とマーケティング双方のROIの向上が見込まれます。明確な測定基準も設けられるため、戦略の効果がはっきりとし、結果として企業の経営状態が改善されます。ABMは様々な戦略の中でも特に高いROIを実現する手法と評価されています。2.リソースのコスト削減ターゲットとなる企業を事前に選定し、リソースをその企業群に集中させることによりコストの削減を実現します。従来の幅広いターゲットに対する一律なマーケティングと比べて、効率化を図ることができ、無駄を削減します。リソースを最大限に活用し、より高い成果を期待できるのです。また、営業活動も限られた顧客にフォーカスするため、より迅速に信頼関係を築くことができるという利点があります。3.PDCAの高速化初期段階でターゲットを絞り込むことができるため、戦略立案が容易になるという利点があります。ターゲット顧客を絞り込むことで受注の可能性を高め、キャンペーンやABテストの成果を正確に測定しやすくなります。広範囲にアプローチする代わりに特定の層に焦点を当てるため、マーケティング施策の効果を検証するプロセスが容易になり、PDCAサイクルを効率的に回すことが可能です。成功には、初期段階で明確な指標と目標を設定することが重要です。4.営業部門との連携強化マーケティング部門、営業部門が密接に連携し、ターゲットアカウントに最適なサービスを提供することが重要です。各部門が共通の目標に向かって効果的に連携し、各ステージでの戦略をスムーズに進めることができます。マーケティング部門が質の高いリードを創出し、そのリードに基づいて営業部門が引き継ぎ、成約に至るまでを担当するという役割分担が特徴です。部門間のコミュニケーションが強化され、組織全体としての一貫したアプローチが実現しやすくなります。ABM導入のデメリットABMはターゲットを絞り込んで効率的な営業活動を可能にするものの、すべての企業に適しているわけではありません。デメリットを確認し、自社のサービスがABMに適しているかどうかを慎重に検討しましょう。手法がマッチしない企業には効果がない顧客規模が小さいと効果がない営業と連携できないと効果がない1.手法がマッチしない企業には効果がない企業の製品ラインナップが限られている場合や追加の商材が少ない場合は、ABMの効果が出ないことがあります。ABMは顧客のニーズに深く応じるための戦略であり、既存の顧客からの売上を増やすために役立ちます。しかし、そうした機会が少ない場合ABMがもたらす利益は少なくなる可能性があります。ABMを導入する際には、自社の商品・サービス構造と市場戦略を総合的に評価し、この手法が自社のビジネスモデルに適しているか検討することが重要です。2.顧客規模が小さいと意味がないABMは、大手企業やその売上ポテンシャルが大きい中規模企業に向けた場合にその効果を最大限に発揮します。対照的に、小規模企業をターゲットにしている場合は、1社あたりの売り上げが限られているため、投資対効果が下がる可能性があります。そのため、ABMを検討する際には、顧客企業の規模や1社あたりの顧客生涯価値(CLV)を考慮し、投資とリターンのバランスを見極めることが重要です。3.営業と連携できないと成果が出ないABMは、マーケティング部門と営業部門の緊密な連携が重要です。マーケティング部門が生成したリードを営業部門が適切に引き継ぎできない場合、ABMの効果は薄くなります。そのため、リードの引き継ぎだけでなく、フォローアップのプロセスも含めて、両部門がシームレスに協力する体制を整える必要があります。リソースの配分、各部門の課題の明確化、連携が取れない原因の洗い出しと解決策の実施が、ABMを成功に導くためのステップとなります。ABMが効果的な企業ABMが特に適している企業の特徴について整理しましょう。高単価の商品やサービスを扱っている企業少数の顧客から大きな売上を見込めるため、ABMに適しています。顧客データの蓄積がある企業データを活用して効果的なABM戦略を展開しやすいです。エンタープライズ企業を取引先としている企業リソースを集中させた高ROIを期待できるため、ABM向きです。意思決定者やキーパーソンが複数部署に存在するエンタープライズ企業ABMを活用して多角的なアプローチが可能です。アップセルやクロスセルによる複合的なサービス展開が期待できる企業ABMにより取引単価を高めることが可能です。これらの条件に合う企業は、ABMを活用することで、効率的に顧客にアプローチし、売上を伸ばすことが期待できるでしょう。ABMの手法と手順ABM導入のための重要なステップを挙げてみましょう。事業目標の確認ABM導入の可否を判断するためには、まず自社の事業目標とABMが適合するかを検討する必要があります。高単価の商材を扱っているか、ターゲットを絞り込めるかなど、ABMに適した条件を確認します。チーム構築営業、マーケティング、インサイドセールスなどの部門が協力してチームを作り、顧客データに基づいたアプローチを計画します。ターゲット企業の選定とリスト作成注力すべきターゲットアカウントを検討し、企業の特性や過去の取引データをもとにリストを作成します。必要に応じて外部データの活用も検討します。アプローチ方法の策定アカウントリストからキーパーソンを特定し、彼らに合わせたアプローチ戦略を立てます。意思決定者に直接届く手法を用いることが大切です。実施結果のモニタリングと効果測定アプローチ後は、メール、電話、Web広告などの反応をモニタリングし、キャンペーンの効果を測定します。得られたデータをもとにPDCAサイクルを回し、継続的に改善を行います。これらのステップに従って丁寧に実行すれば、ABMの導入がよりスムーズになり、その効果を最大化することが期待できます。まとめ効果的なABMの実施には、自社に適したツールを使いターゲットの詳細なセグメント化を行うことが不可欠です。まず、自社がABM手法にマッチするか条件を確認しましょう。自社の特性に合わせたツールと部門の連携をおこなうことで、ABM導入がスムーズになります。